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不動産売却で消費税が課税されるケースは?非課税のときや注意点もご紹介!

不動産ノウハウ

倉本  展男

筆者 倉本  展男

不動産キャリア20年

不動産売却で消費税が課税されるケースは?非課税のときや注意点もご紹介!

不動産売却では、かかる税金を事前に把握しておくのが注意点です。
売却でかかる税金のひとつに「消費税」が挙げられますが、それらはどのようなときに発生するのか、疑問をお持ちの方は少なくないはずです。
そこで今回は、不動産売却において消費税が課税されるケースと非課税のケースをご紹介します。

不動産売却で消費税が課税されるケース

不動産売却で消費税が課税されるケース

不動産売却で消費税が課税されるケースは、主に以下の3タイプです。
それぞれどのタイミングで課税されるのか、売却前に確認しておきましょう。

課税対象①不動産会社の仲介手数料

不動産売却は、不動産会社に仲介を依頼して売却活動を進めるのが一般的です。
その際に、仲介手数料を支払いますが、これには消費税がかかります。
原則として、仲介手数料の金額は売却価格に応じて決定されるため、不動産の売却額が高いほど納税額も増加します。
たとえば、不動産の売却価格が200万円超400万円以下の場合は、売却価格の4%に消費税をくわえた額が仲介手数料となるでしょう。
ただし、この金額は上限額です。
交渉によっては、値引きが可能なため、事前に相談することが望ましいです。

課税対象②一括繰り上げ返済手数料

不動産の売却時にローン残債があると、その後の手続きをおこなえない可能性があります。
基本的に、住宅ローンを完済しなければ、不動産の売却はできません。
これは、住宅ローンの契約時に抵当権が設定され、不動産が担保となっているためです。
そのため、自己資金や売却益を用いてローン残債を一括で返済する必要があります。
住宅ローンを返済する際の注意点として、一括繰り上げ返済手数料が発生する場合があります。
費用は、金融機関によって異なりますが、固定金利の場合は3万円から5万円程度です。
これには、消費税がかかり、3万3,000円から5万5,000円の負担となることがあります。
なお、近年ではインターネットを利用して、繰り上げ返済ができる場合もあります。
その際には、消費税が課税されない可能性があるため、事前に確認しておくことが重要です。

課税対象③抵当権抹消登記を依頼したときの司法書士報酬

不動産売却後には、抵当権抹消登記を済ませなければなりません。
売主自身でもおこなえる手続きですが、専門的な知識が必要なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士に登記手続きを依頼する場合は、報酬費用を支払う必要があり、これには消費税が課税されます。
費用は依頼する司法書士によって異なるため、あらかじめ相場を把握しておくことが望ましいです。
目安としては、消費税を含めて5,500円から2万2,000円程度の費用がかかります。

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不動産売却で消費税が非課税になるケース

不動産売却で消費税が非課税になるケース

不動産売却において消費税が非課税のケースは、主に2つです。
以下で、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

土地の売却では消費税が非課税となる

不動産売却において、土地には消費税がかかりません。
売主の状況に関係なく非課税となるため、覚えておく必要があります。
ただし、1か月未満の貸し付けや駐車場などの施設利用を目的として土地が使用される場合には、消費税が課税されます。
収益を伴う用途の場合は、消費税の対象となる点を確認しておくことが重要です。

個人が不動産を売却するときには消費税がかからない

原則として、不動産売却の消費税は事業者に対して課税されます。
そのため、個人が不動産を売却した場合、消費税は課税されません。
ただし、個人でも状況によっては、課税事業者となることがあります。
不動産投資などで前々年の課税売上高が1,000万円を超えている場合、個人が課税事業者となり、消費税が課税されます。
自宅やセカンドハウス・別荘などの居住用財産の売却は非課税となるため、混同しないように注意することが大切です。

個人で消費税が課税されるケース

個人が土地や建物を売却した場合、消費税は非課税となります。
ただし、個人でも消費税が課税されるケースがあるでしょう。
たとえば、不動産会社に支払う仲介手数料、住宅ローンの繰り上げ返済手数料、司法書士への報酬などには、消費税が課税されます。
不動産の売却を円滑に進めるためには、これらの課税対象となる費用を事前に把握しておくことが重要です。
内訳や相場を事前に確認しておけば、売却までに資金の準備ができます。
不動産売却には、ある程度のまとまった諸費用がかかるため、早めに資金を確保しておくことをおすすめします。
諸費用としてかかる金額は、売却価格の4〜6%が目安となるでしょう。

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不動産売却で押さえておきたい消費税に関する注意点

不動産売却で押さえておきたい消費税に関する注意点

不動産を売却するときには、いくつか注意点を押さえておかなければなりません。
主な注意点は、以下の3つです。
どのようなポイントに気を付ければ良いか、事前にチェックしておきましょう。

注意点①ケースによって建物の売却に消費税が課税される

居住用不動産以外の売却をおこなう場合、建物に消費税が課税されます。
たとえば、売却価格が3,000万円で、建物部分が1,200万円の一戸建てを売却する場合、建物価格1,200万円に消費税が課税されます。
現在の消費税率は10%であり、その場合、建物価格に対して120万円の消費税が上乗せされるでしょう。
つまり、売却価格3,000万円の不動産を売却する際、税込価格は3,120万円となります。
このように、消費税を加えた価格が取引金額となるため、売却価格を計算する際には注意が必要です。

注意点②法人が不動産を売却したときの課税対象を把握しておく

消費税の課税対象は、法人と個人で異なります。
法人が建物を売却する際には、消費税が課税されるため注意が必要です。
建物価格に消費税が加算された金額が最終的な取引価格となります。
なお、土地については、法人でも消費税は非課税です。
個人は不動産に対する消費税がかかりませんが、法人では建物に消費税が発生することを覚えておきましょう。
また、前々年の課税売上が1,000万円を超えていない場合は、非課税事業者と判断されます。
基準期間で課税売上が1,000万円を超えた場合や、特定期間で給与支給額が1,000万円を超えた場合は、課税事業者とみなされるため注意が必要です。

注意点③免税事業者に該当する条件をチェックする

不動産売却をおこなう際には、自身が課税事業者か免税事業者かを確認する必要があります。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、その課税期間から課税事業者となるため注意が必要です。
特定期間は法人の場合、その事業年度における全事業年度開始の日以後6か月間を指します。
また、免税事業者になるためには、消費税の納税義務者でなくなったことを届け出る必要があります。
手続きを怠ると、不動産売却において消費税が発生することになるため、必ず届出をおこないましょう。
免税事業者の届け出をおこなう際には、納税地を管轄する税務署の署長宛に申告書を提出する必要があります。
書類の取得には時間がかかる場合があるため、早めに準備を進めることが重要です。

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まとめ

不動産を売却するときには、不動産会社へ支払う仲介手数料、住宅ローンの一括繰り上げ返済手数料、そして登記手続きを依頼する司法書士への報酬には、消費税が課税されます。
一方で、土地の売却や、個人が建物を売却するときは、消費税は非課税となります。
なお、法人が不動産を売却するときは、課税対象となるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。


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